【Flower Stories#040】鶯宿梅

歌仙の子は歌仙



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梅に鶯 。平安時代の歌物語

万葉の時代、日本古来から愛でられている梅の花。元号令和の出典となったのも、万葉集巻五に収録された梅花の歌の「序」から。
4500種以上ある万葉集の歌の中で、萩に次ぐ2番目の数で118首あるそうです。

【梅に鶯】という諺があります。

  意味は、取り合わせのよい二つのもの、よく似合って調和する二つのものの例え、また、仲の良い間柄の例えで 「牡丹に唐獅子」・「竹に虎」・「紅葉に鹿」・「松に鶴」・ 「柳に燕」等の組み合わせもあります。
日本画のモチーフにもよく使われる取り合わせですよね。

さて、鶯宿梅(おうしゅくばい)。
これは平安時代後期の物語「大鏡(おおかがみ)」に収録された故事の一つです。

平安時代初期、村上天皇の御殿、平安京の内裏・清涼殿の梅の木が枯れてしまった。残念に思った天皇は、早春に梅を愛でたい一心で京の銘木を使いに探させることにした。 ほどなくして、西ノ京より見事な梅の木が見つかり、内裏の庭に移植されることになった。
天皇は大いに喜び、木を見に行くと、枝に短冊が付けてあり、そこに和歌が書かれていた。

「勅なればいともかしこし鶯の宿はと問はばいかが答へん」

帝のご命令とあらば、 献上いたします。ただ、毎年この庭に来て この梅の枝に止まり、 羽を休めるウグイスに

「私の宿はどこへ行ったのでしょう?」
と聞かれたら、

どのように答えたらよいのでしょう?

何とも素晴らしい歌だと感心し、歌を読んだ者の素性を調べたところ、歌人・紀貫之の娘、紀内侍(きのないし)だったことが判明。

さらにその梅の木は、父の形見という。

天皇は、申し訳ないことをしたと自身のしたことを恥じ、梅の木は娘の元に返されたと故事です。

その後、梅は植え替えられ、接ぎ木されながらも現存し、現在は京都市上京区の林光院にあると言います。
秀逸な和歌の力というものは、人の心をも動かしてしますね。

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